岡留大和
2024年入学 第8期生
カリフォルニア大学バークレー校
東邦大学附属東邦高等学校出身

競泳で華々しい成績を残してきた岡留大和さんが高校卒業後の道として選んだのは、海外大に進学し、経営学を学ぶこと。

競泳で華々しい成績を残してきた岡留大和さんが高校卒業後の道として選んだのは、海外大に進学し、経営学を学ぶこと。「日本競泳界のレベル底上げの環境づくりに貢献する」という目標を掲げ、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校に進んだ彼の思いを聞きました。
「日本競泳界のレベル底上げの環境づくりに貢献する」という目標を掲げ、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校に進んだ彼の思いを聞きました。
August, 2025
18歳以下の選手が出場するジュニアでは日本は世界のトップレベルの国と戦えているのに、シニアに上がると総合力で勝てなくなるのはなぜだろうと気になったのが背景にあります。ジュニアでも国際的な大会だとオリンピック同様に各国のメダル数が出るんです。アメリカが取るメダル数はいつも飛び抜けて多く、その次に続くのがオーストラリア、日本。ジュニアでは、日本はその他の国よりも上位にいるのですが、シニアに上がると順位が下がってしまう。一方で、アメリカはシニアに上がってもメダル数の多さでは世界一を保っています。どうしてだろうと考え始め、よくよく観察して感じたのが、大学生からどんどんレベルが離されているなと。
その理由はいくつかあると考えています。まず、アメリカの大学ではトレーニング施設はもちろん、コーチ陣も揃っていること。そしてその環境を求めて、アメリカだけでなくインターナショナルの選手が多く来るので、自分よりも速い人と泳ぐ機会が大学内外にたくさんあること。他のスポーツは分からないですけど、競泳で世界と戦うことを考えると、今からそのような厳しい環境に身を置くのが一番だと感じました。でも僕がアメリカの大学進学を決めたのはそれだけが理由ではありません。大学はあくまでも教育機関。アメリカには学問にもしっかりとお金をかけた最先端の環境があります。トップアスリートになった後、僕は日本の競泳界に貢献したい。それこそアメリカのような環境を整えて、競泳のレベルを底上げする一助になりたい。そのためには、経営学を始めとする学問を身につけることも必要だと考え、アメリカの大学に進学したいと思いました。


自身が選手として活躍してきたからこそ見える競泳界の課題。後続の選手たちのことも見据えて、「今とこれからの自分にできること」を語ってくれた。
僕はスポーツの発展に、商業化はとても大切だと考えています。例えば、オリンピックの開催国って、その年からどの競技のチームもだいたい強くなるんです。水泳の例でいうと、2024年にパリオリンピックがありましたよね。フランスの水泳チームは前年の2023年から比べると1年ですごく強くなりました。おそらく、オリンピックの開催国になったことで予算がおりて、強化に充てられたんじゃないかと思います。もちろんお金が全てではないけど、商業化が上手くいっているスポーツは発展していきやすいですし、予算がなければ、環境を整えきれない状況に陥りやすいだろうし…。世界と戦い続けていくだけの競技力を上げるには、資金面にもフォーカスしないと厳しい。とはいえ、オリンピックの開催国になることを期待し続けるわけにもいきませんから、商業化して安定的に資金を得られるようになることが、その競技の強化にも繋がると考えています。
特に競泳は、商業化が難しいスポーツなんです。サッカーやバスケットボールだったら、ゲーム性があってプレー時間も長いので、会場などで飲食も楽しみながら観戦できるけど、競泳は数分で終わってしまいます。そこからどう収益を上げるのか、さらに日本の文化に合った商業化とは何か。経営学を学んで、考えていきたいです。

初めての海外生活1年目。財団の同期たちとの交流が助けになっているそう。
ハース・ビジネススクールがあるのは、もちろん決め手になりました。実際に今学期から経済学の授業を取り始めていますが、スポーツの商業化を進めていくのに必要な知識や考え方を学べるのは、バークレー校を選んだ理由の一つです。でも、僕にはまず競泳界のトップアスリートになるという目標もあります。バークレー校には、長らくNCAA(全米大学体育協会)水泳・飛込選手権大会で優勝か準優勝を続けているぐらい強豪の水泳チームがあるのも、大きな理由です。それだけ長い間、強くいられるのはメソッドが確立されているからだと思ったし、チームで勝つ意識が高いところにも惹かれました。自分は個人で戦うよりもチームで戦う方が好きなタイプなので。大学選びに関しては、国際大会を通じて友達になった選手からのアドバイスも大きいです。高校2年生の時に参加したパンパシフィック水泳選手権で出会ったアメリカ国籍のあるシンガポール出身の選手で、滞在先のホテルでご飯を食べながら「高校卒業したら、どこの大学に行くの?」っていう話になって。英語がつたないながらも「アメリカの大学に興味があるんだよね」と言ったら、彼はアメリカ在住だからいろいろ教えてくれました。

化学や物理、経済など、専攻を決めるまで今は学際的に学びの領域を広げている。新しい興味と出合う可能性も。
すごく濃い1年だったなと。水泳に関していうと、先輩方と一緒にNCAA水泳・飛込選手権大会の決勝まで経験させてもらえて、結果は準優勝でしたけど、負けも含めてすごくありがたい経験になりました。また、競泳選手としての1年の作り方を学べたのもよかったと思います。3月に開催されるNCAA水泳・飛込選手権大会に向けて、8月から12月までは体力・筋力を積み上げる基本的なトレーニング、1月からはテクニカルなポイントを抑えた練習を行い、2月から3月でコンディションを上げていくという流れでシーズンを作っていく。1年次は何が何だか分からず、先が見えないまま進んだ感じがあったけれど、この流れを踏まえて、今年はもうちょっと先を見据えて準備ができそうです。

2024年のNCAA平泳ぎで準優勝を獲得した時のトロフィー。
学業との両立は、キツいかキツくないかでいったら、普通にキツいです!水泳をやっていると体がしんどいですし。痛いとか、眠いとか、不可抗力じゃないですか。なんとか食らいついている、という感じですね。だから正直ラクではないけど、でも楽しいですよ。経済学、化学、物理など、自分が受講したいと思ったものを取っているから、興味のあることが学べて楽しいです。今学期は結構な数の科目を取ったので、追い込まれていますけど(笑)。例えば、今学期で一番大変なのが水曜日。朝6時から8時まで水泳の練習をして、8時から11時まで化学の授業。11時から12時にまた化学の講義があって、12時から1時半までランチ休憩をしたら、4時まで水泳の練習。4時から物理、その後は4時から8時まで経済の講義が二本立て…。
でも1年次に引き続き、今は基本的なことを着実に積み上げていく時間。専攻を決める3年生になった時や、卒業後でも何か新しいことに興味が湧いた時に、その機会を逃さないためにもベーシックな知識を身につけておきたいです。
「大学の同級生や財団生たちが楽しそうに勉強しているのを見ると、自分も、と思います。自分のやりたいように、好きなことを勉強する大学の時間は4年間しかないですから」
まずはチームとしてNCAAのトップワン・ツーに入りたいです。自分がチームの主軸となってチームを引っ張っていけたらいいなと思っています。前にも言いましたが、僕は個人よりもチームの勝利の方が嬉しい。だから、メドレーリレーで勝った時の嬉しさをいずれは世界の一番高いところで味わいたいです。トップアスリートになったのちは、日本の競泳界のレベルを底上げできる環境作りに貢献できるようになれれば。あとは、僕がこうやってアメリカの大学で学びながら水泳の選手としても上を目指せば、水泳をやっている日本の高校生たちの選択肢が増えることになるんじゃないかという期待もあります。探り探りですけど、こういう道もあるよと開拓していきたいです。

「先人の力を借り、次世代に力を貸す。こういった輪の一部になりたい」
今のところの人生で重要だなと感じたのが、何事もいったん人に頼ってみること。高校生の頃は大きい夢があっても、その夢に続く道が見えていないことが多いと思います。でも大体のことには先駆者がいるので、そういった人に聞いてみる。その先駆者が辿った道のりと自分の夢までの道のりが完全に一致していないとしても、ある部分までは一緒かもしれないですよね。だから、そこまでの道のりをまず知っている人に教えてもらって、その先は自分で探すでも、また別の人を頼ってみるのでもいいですし。いろんな人と出会い、いろんな人の力を借りて自分の行動に活かしてほしいです。それができたら、いずれ次の世代に頼られる時が来ますから、その時は自分が力を貸してあげる。こういった輪の一部に僕はなりたいですし、みんなもそうなってくれたらいいなと思います。

カリフォルニア大学バークレー校
東邦大学附属東邦高等学校出身
4歳の頃に“習い事”の一つとして水泳を始め、同世代を代表する注目選手に成長。岡留さん曰く、「競泳人生の最終目標は世界大会のメドレーリレーで金メダルを獲得すること」。周りにメダリストが多くいる環境に刺激を受けながら、今は全米チャンピオンチームになることを目指す。